多汗症は、特に暑くない状況でも過剰に汗をかく状態を指します。生活の質に大きな影響を与えることがあるため、理解し適切に対応することが重要です。
多汗症の原因
原発性(特発性)多汗症
明確な原因が見当たらないタイプで、遺伝的要因が関与すると考えられています。特に手のひら、足の裏、脇の下などに局所的に発汗がみられます。
続発性多汗症
以下のような他の病気や状態に関連して起こるものです:
- ホルモン異常(甲状腺疾患、更年期など)
- 感染症(結核、HIV、マラリアなど)
- 糖尿病
- 心疾患・腎疾患
- 薬の副作用(抗うつ薬、鎮痛薬など)
精神的・心理的要因
ストレス、緊張、恐怖などによる「精神的発汗」があります。感情的刺激によって発汗が起こります。
最新の治療方法
ボトックス注射(ボツリヌス毒素注射)
アセチルコリンの放出を抑え、注射部位の発汗を数ヶ月間抑制します。
内服薬
- 抗コリン薬(例:グリコピロレート、プロパンテリン)
- ベータブロッカー(例:プロプラノロール)
- 抗不安薬(ストレス性の多汗症に効果)
イオン導入療法(電気治療)
手のひらや足の裏に微弱な電流を流し、汗腺の働きを抑えます。
外科的治療
- 交感神経遮断手術(ETSS):重度の多汗症に。脇の下に有効。
- 汗腺除去手術:発汗が多い部位の汗腺を取り除く方法。
- レーザー治療:脇の汗腺を破壊する新しい治療法。手術より負担が軽い。
食事療法・ライフスタイルの改善
- カフェインや辛い食べ物を控える
- ヨガ、瞑想、呼吸法などでリラックスを促す
外用治療
腋窩や手掌に抗コリン製剤を塗布。効果は一時的ですが改善が期待されます。